今日の環境認識:ドル円

9月1日(金)の東京外国為替市場の見通し

昨日のニューヨーク外国為替市場では、ドル円が反落しました。米経済指標の弱い結果を受けて一時145.56円まで下落しましたが、7月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターは前年比4.2%上昇と市場予想と一致したことで、一時高値の146.25円手前まで値を上げました。しかし、ダウ平均の失速や米長期金利の低下を受けて145.35円まで安値を更新しました。

ユーロドルは4営業日ぶりに反落しました。ユーロ圏のインフレ指標や欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(7月27日分)を受けて、ECBの追加利上げ観測が後退したことで1.0835ドルまで下押しました。ユーロ円は6日ぶりに反落しました。株安やロンドン・フィキシングに絡んだ円買いで157.62円まで弱含みました。

本日は市場の目線がNYタイムに発表される米8月雇用統計に向けられており、東京タイムでのドル円は模様眺めムードが強まりそうです。しかし、一段の調整売りに押される可能性にも注意が必要です。

今週に発表された7月米JOLTS求人件数が約2年半ぶりの低水準となり、8月ADP全米雇用報告も予想を下回るなど、米労働市場の過熱感の緩和が示されました。また、7月PCEデフレータはインフレの落ち着きを示しているものの、個人消費支出が強い数字となりました。

8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数の予想は17万人と前月から減少が見込まれています。予想通りなら、過去3カ月の雇用者数の伸び平均は2021年初め以来最も小幅になるでしょう。また、同平均時給も前月から伸びが縮小すると予想されており、雇用統計の結果が予想通り若しくは予想以上に低調な結果となれば、労働市場の減速が証明されつつあるとの認識とともに、米金融当局による追加利上げの緊急性が低下するとの見方が強まり、ドル高に調整が入りそうです。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週のジャクソンホール会合での講演で、インフレ率を2%に低下させるには労働市場が軟化するとともに一定期間にわたって経済成長率が潜在成長率を下回る必要があると強調しました。

今夜のイベント

  • 21時30分:米)雇用統計:非農業部門雇用者数/失業率/製造業雇用者数/平均時給
  • 22時45分:米)メスター:クリーブランド連銀総裁の発言(投票権なし)
  • 23時00分:米)ISM製造業景況指数

重要用語解説

  • ドル円:日本円と米ドルの為替レート
  • 雇用統計:ある国の労働市場の状況を示す統計
  • 米労働市場の過熱感:米労働市場が過度に活況を呈していること
  • インフレの落ち着き:物価上昇率の低下
  • 労働市場の減速:労働市場の活況の低下
  • 追加利上げ:金融政策の引き締め
  • 労働市場が軟化する:労働市場の活況が減退する
  • 経済成長率が潜在成長率を下回る:経済が潜在能力を下回るペースで成長する

まとめ

昨日は米経済指標の弱い結果を受けてドル円が反落しました。本日は米雇用統計を控え、東京タイムでのドル円は模様眺めムードが強まりそうです。しかし、一段の調整売りに押される可能性にも注意が必要です。

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