3月13日 株式評論家:ドル・円、来週は様子見?
【考察】
来週のドル・円相場は、3月13日の自動車・電機大手の賃上げ集中回答に大きく左右される可能性があります。
- 賃上げが市場予想を上回る場合:
日本銀行は、2%の物価目標達成への自信を深め、大規模緩和修正に踏み出す可能性があります。これは円安・ドル高方向への材料となります。
- 賃上げが市場予想を下回る場合:
日本銀行は現状維持を選択する可能性が高く、為替相場への影響は限定的と考えられます。
【その他の考慮点】
- FRBの利下げペース:
市場予想よりも緩慢なペースであれば、リスク選好的なドル買い要因となり、ドル高・円安方向への材料となります。
- 米国のインフレ:
3月12日発表予定の2月米消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+3.7%と予想されており、高インフレ状態が続くと見込まれます。これはドル高・円安方向への材料となります。
- パウエルFRB議長の議会証言:
中立的な見解を示したため、主要通貨に対するドル売りが観測されましたが、年内数回の利下げが想定されており、米国経済の軟着陸への期待は持続しています。
【全体的な見通し】
来週のドル・円相場は、
- 賃上げ集中回答の結果
- FRBの利下げペース
- 米国のインフレ動向
などに左右され、方向感が見えにくい状況が続く可能性があります。
【用語解説:初心者向け】
- 賃上げ集中回答:
毎年春に、主要企業が統一的に回答する春季労使交渉の回答日を指します。
- 大規模緩和:
景気回復のために、日本銀行が実施している金融政策です。具体的には、国債やETFを大量に購入することで、市場にお金を供給し、金利を低く抑えています。
- リスク選好的なドル買い:
世界経済が不安定な時、投資家は安全な資産である円ではなく、リスクを取ってでも高いリターンが期待できるドルを購入する傾向があります。
- インフレ:
物価が継続的に上昇する現象です。
- FRB:
米国の金融政策を担当する中央銀行です。
- CPI:
消費者物価指数のこと。家計が購入する代表的な商品・サービスの価格を調査し、その平均的な変化率を算出したものです。
- 中立的な見解:
金融政策を緩和にも引き締めにもせず、現状維持することを意味します。