勉強会:『良い金利の上昇』と『悪い金利の上昇』

こんにちは!Zerukuです。
今回は、『良い金利の上昇』と『悪い金利の上昇』について、お話をしましょう。

『良い金利の上昇』とは、景気の回復が見込め、株価が上昇、債券が売られる(利回りが上昇)、設備投資などが活発化し、資金需要が増える、などの場合での金利上昇のことを言います。

一方、『悪い金利の上昇』とは、例えば、財政が拡大し、国債価値が下落する恐れがある。
あるいは、景気の過熱によってインフレ率が急伸し、それを抑制するために中央銀行が「引き締め政策」をとる。
などの場合での金利上昇が、それに該当します。

ただ、『良い金利の上昇』か『悪い金利の上昇』かを判断するのは、難しい面もあるのが事実です。
例えば、実質GDP成長率と財政赤字の「対GDP比の市場の予想」を見ると、
2021年の1月以降は、バイデン政権から大型の経済政策が発表されたため、そのいずれの予想も大きく上昇しました。

このように「成長期待」と「財政悪化懸念」が、同時に進行する場合もあります。
こういった時は、最終的に株価が堅調に推移するのであれば、市場は『良い金利の上昇』とみなし、
株価の調整が長引けば、市場は『悪い金利上昇』とみなしている。
と判断するほうが、分かりやすいのかもしれません。

いずれにせよ、捉え方として大事なことは、「名目金利」から「期待インフレ」を差し引いた『実質金利』が重要ということです。

過去の『良い金利の上昇』期間の例としては、16年~18年の米国相場が挙げられます。
この期間をエコノミストなどは、「ゴルディロックス (適温) 相場」と呼びました。
英国の童話「3匹のくま」で登場する、主人公の少女「ゴルディロックス」が、熱すぎず冷たすぎない、ちょうどいい温度のスープを作ったことから由来しています。
景気が緩やかに長期で上昇、金利も景気の上昇とあわせて緩やかに上昇、その間、株式市場も大きなブレもなく長期的に上がる状態のことを指します。

『悪い金利の上昇』の典型例とされるのが、13年の米国での金利上昇期です。
テーパー・タントラム (テーパリング (量的金融緩和の縮小) による金融市場のかんしゃく (混乱)) として、株式市場などが急落しました。
今でも市況関係者にとってはトラウマとなっており、金利上昇を気にする人が多いですね。

その時の10年債利回りは、12年7月の1.3%台を底に、13年12月の3.0%台まで上昇しました。
アメリカのGDP成長率を大きく上回る金利の上昇によって、米国の実質GDP成長率は、12年の2.1%増から、13年には1.5%増と急減速する結果となってしまいました。
また、景気の減速に合わせて、インフレ率も12年の2.1%から13年は1.5%に低下したのでした。

株式市場が、長期金利の動きに敏感になることが多いですが、必ずしも「金利の上昇が全てダメ!」というわけではありません。
覚えていて欲しいのは、現在の景気、金融政策、株価がどの位置にあるかを、正確に認識していれば、『いい金利の上昇』と『悪い金利の上昇』を分別できるということです。

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