2023年9月26日の東京外国為替市場のドル円の見通し
- 日米金利差の拡大を背景に、ドル円は続伸が予想される。
- ただし、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
- 米国議会での暫定予算案の採決の行方にも注視が必要。
- 岸田首相が経済対策の取りまとめを指示。
- 本邦通貨当局の昨年秋の3回のドル売り・円買い介入は、ボラティリティーの抑制を名目に実施。
- 日銀は金融緩和の持続性を高めるため、イールドカーブコントロールの運用柔軟化を決定。
- 国際決済銀行(BIS)が発表した2023年8月の実質実効為替レートは、1970年以来の低水準に。
- 日本の政策金利が31通貨中で唯一のマイナス0.1%であるため、円・キャリートレードが活発化。
解説
- 日米金利差
日本はマイナス金利を維持しているのに対し、アメリカは利上げを続けているため、日米間の金利差が拡大している。金利差が拡大すると、金利の高い通貨に投資する動きが強まり、ドル高円安につながる。
- 本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入
日銀は、円安が進むことで輸出企業の競争力が低下するなどのデメリットが生じると考えている。そのため、必要に応じてドル売り・円買い介入を実施し、円安を抑制する可能性がある。
- 米国議会での暫定予算案の採決
米国議会では、2024年度の歳出法案をめぐり対立が続いており、来週以降に政府機関が閉鎖される可能性が高まっている。政府機関が閉鎖されると、米国の信用格付けが下落するなどのリスクが生じる。
- 岸田首相の経済対策
岸田首相は、物価高対策や持続的な賃上げなどを柱とする経済対策の取りまとめを指示した。経済対策が実施されれば、円安の進行に歯止めがかかる可能性はある。
- ボラティリティーの抑制
ボラティリティとは、価格の変動幅の大きさのこと。外国為替市場では、価格の変動が激しいことから、ボラティリティが高いと言われることが多い。日銀は、ボラティリティーが急激に拡大すると、市場の混乱を招く可能性があると考え、必要に応じてドル売り・円買い介入を実施している。
- イールドカーブコントロール(YCC)の運用柔軟化
YCCとは、日本国債の10年物利回りを0%程度に抑えるように金融政策を運営する手法のこと。日銀は、YCCの運用を柔軟化する方針を打ち出したことで、長期金利が上昇し、円安が進む要因となっている。
- 実質実効為替レート
実質実効為替レートとは、為替レートと物価水準を反映した指標のこと。実質実効為替レートが低下すると、円安が進んでいることを意味する。
- 円・キャリートレード
円・キャリートレードとは、低金利の円を調達して高金利の外貨で運用する取引のこと。日本の政策金利がマイナス0.1%であるため、円・キャリートレードが活発化しており、円安を加速させる要因となっている。
今後の見通し
日米金利差の拡大が続く限り、ドル円は続伸が予想される。ただし、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。また、米国議会での暫定予算案の採決の行方にも注視が必要である。